1.PC-386LSを解体する
PC-386LSをバックアップ電池が見える状態まで解体します。
Tips「PC-286LS/PC-386LS解体新書」を参照して下さい。
黄色い単三電池のようなものが「内蔵バックアップNi-Cd電池」です。
この電池は、実は小さなNi-Cd電池が3個、直列に接続されています。そのため、単三よりも3mmほど短く、単四よりも長くなっています。
また、タグ付き(端子タグが溶接されている)で、基板にはんだ付けされています。
バックアップ電池については、マニュアルに仕様が記載されていませんが、見た目は、PC-286L(LSではない)のバックアップ電池とそっくりです。
そこで、PC-286L のマニュアルを参考にしますと、3.6V/45mAH とありますので、PC-386LS の電池も似たようなものだと思います。
この状態で電圧を測ってみますと 2.64V しかありません。
※事前に、充分な充電時間を与えた結果です。
他の PC-286LS や PC-286L/LE は、初期日時になってしまうのですが、この PC-386LS は、電源ON時は、前回電源OFFした日時を記憶していました。かろうじて寿命の一歩手前という状態でしょうか。
ニッカドは、0.9V で約90%放電している状態らしいので、
2.7=0.9×3
計算とおりですね。
2.電源ユニットとNi-Cd電池の確認
先ず、電源ユニットのみを取り付けて、電源ユニットが正常であることを確認します。
PC-386LS は、電源ON時に充電する仕様です。
本来なら、電源ON時に電圧がかかるはずです。もし、電源ON時に電圧がかからなければ、電源ユニットの不良も考えられます。
ニッカド電池1個の規格は、普通 1.2V です。
3個が直結されているということは、3.6V と予想されます。
前述しましたとおり、PC-286L と同じものと思われます。
ニッカド電池を充電するには、1.2倍以上の電圧が必要です。同じ電圧以下ですと、充電できません。
では、実際に電源ONにして測定して確認してみましょう。
電圧は 4.98V ありました。
1.4≒4.98÷3.6
予想とおりの値です。
もし、特殊な規格で1個 1.5V だった場合、
1.1≒4.98÷4.5
となり、ちょっと電圧不足ですから 1.5V の特殊タイプとは思えません。
次に、PC-386LS のマニュアルによれば、本体の電源ON時に充電がなされ、完全放電の状態から50時間で充電完了となります。
50時間もかかることから、「標準充電」ではなく「トリクル充電」していると考えられます。
トリクル充電
自己放電を補うために、電池容量の 2 〜 5%程度の微弱電流で
連続充電する方法
通常の充電は、電池容量の1.5倍の電荷(1.5C)を与えた時点で終了させます。
これを元に、充電電流 I を算出してみます。
1.5C÷I[mA]=50[H]
1.5×45[mAH]÷I[mA]=50[H]
∴ I=1.35[mA](45mAH の 3%)
以上の結果から、バックアップ電池は 3.6V/45mAH と判断しました。
3.材料と工具
同じNi-Cd電池があれば、取り替えるだけで済みますが、前述のとおり特殊な形状ですので、手に入りません。
今回は市販のNi-Cd電池(1.2V 3本)を代用しました。
容量は、ノートのバッテリーとは用途が異なりますので、1700mAH などの大容量でなくても充分です。
しかし、今の時代、逆に小容量のものを探すのが困難になってきました。できるだけ 45mAH に近いものを用意します。
※欲張って大容量のものをつけても充電不足になってしまいます。
決して、リチウム電池を使用してはいけません。電池特性が異なりますので充電時は大変危険です。
1)Ni-Cd電池(乾電池型単三タイプ) 小容量 3本
2)電池ホルダーとスナップ
3)線材(必要に応じて)
4)はんだごて
5)はんだごて台
6)はんだ
7)はんだ吸取り器等
4.Ni-Cd電池の取り外し
基板の裏の赤丸2ヶ所が電池のラグ端子(足)です。
周りの部品に注意しながら、はんだごてと吸取り器でNi-Cd電池を取り外します。
必ず取り外します。元の電池と改造電池を並列に接続してはいけません。
取り外したNi-Cd電池です。
5.スナップの取り付け
スナップを極性に注意しながらはんだ付けします。
スナップは電池ホルダーの取り付け位置に応じて、線材で延長して下さい。
PC-386LS の場合、下の画像のようにFDDの上に設置できますので、延長する必要がありませんでした。
この後、組み付けて行きます。
6.組み付け
電池ホルダーをFDDの上に両面テープで固定して取り付けた状態です。
後は、順次組み付けて完成です。
組み付け後、最初の電源ON時には「メモリスイッチの初期化=ON」にしておきます。
「メモリスイッチの初期化=OFF(保存する)」のままですと、一旦、バックアップ電池を取り外しておりますので、値が滅茶苦茶になっている可能性が大きいです。
そのまま起動しますと、HDやFDの内容が破壊されてしまうおそれもありますので、注意が必要です。